鍼灸治療は人間が生まれ持った

免疫=ウイルスや細菌など異物から体を守ったり

病気やけがの治癒を促進するシステムを強化します。

これが 東洋医学でいうところの

未病治(病気の予防)につながります。

一方で免疫反応による過剰な炎症をおさえることで

自己免疫性疾患・アレルギー疾患を改善する作用もあります。

 

 

☆そもそも免疫とは

免疫とは、ウイルスや細菌など異物から体を守る仕組みのことで

自然免疫獲得免疫に分けられる。

自然免疫生まれつき体に備わっている生体防御のシステム。

 免疫細胞が異物である病原体などをいち早く認識し、攻撃・排除する。

 ウイルス、寄生虫、細菌への対応のほか、

 老廃物や変異をした細胞の排除も担う。

 自然免疫で働くのは以下の免疫細胞。

 ①好酸球:白血球の一種で寄生虫や細菌を処理する

 ②好中球:白血球の一種で処理した細胞を消化し殺菌する

 ③単球・マクロファージ:侵入した異物を処理する

 ④樹状細胞:異物の侵入をT細胞に伝える

 ⑤NK(ナチュラルキラー)細胞:細胞内の異物(ウイルスやがん細胞など)を処理する

獲得免疫とは一度侵入した異物の情報を記憶して

 再び同じ異物が侵入したときに効果的に排除するシステム。

 獲得免疫では以下の免疫細胞が働く。

  ①B細胞:異物(抗原)に対する抗体を作る

  ②形質細胞:B細胞が成熟したもので、抗体を量産し自然免疫の働きを助ける

  ③ヘルパーT細胞:異常な細胞を発見しほかの免疫細胞へ連絡や指示を出す

  ④キラーT細胞:ヘルパーT細胞の指示を受けてウイルスに感染した細胞を攻撃する

 

☆鍼灸刺激が免疫力を高める仕組み

免疫細胞が、細菌・ウイルスに対抗し

感染を防いだり、治癒を早めるために働く過程で

炎症反応がおこる。

鍼灸刺激はこの炎症反応を以下のルートから促進することで

細菌・ウイルスへの抵抗力を高めたり

感染しても早期に回復できるよう働きかける

①肥満細胞に働きかけ肥満細胞内の炎症性サイトカインや

プロスタグランジンを放出するため

細胞間の隙間が広がり免疫細胞が炎症部分に集まりやすくなる。

またケモカインという白血球を呼び寄せる物質が産生され

炎症反応が促進される。

②視床下部に働きかけ副腎皮質ホルモンの分泌を抑えることで

免疫力の低下を防ぐ

(過剰な副腎皮質ホルモンは

 免疫細胞の数や炎症性サイトカインの産生を減少させて免疫機能を低下させる)

③交感神経と副交感神経のバランスを調整し

副腎髄質ホルモンの分泌をおさえることで免疫力の低下を防ぐ

(副腎髄質ホルモンはNK細胞など免疫細胞の働きを低下させる。

ただし副腎髄質ホルモンのひとつ、ドーパミンは

マクロファージを活性化して炎症を抑える作用もある)

 

 

☆鍼灸治療がケガや火傷の治りを早くする仕組み

皮膚や筋肉への鍼灸刺激により細胞が傷ついたり壊れると

自然免疫のマクロファージ、好中球、肥満細胞、NK細胞が集まり

修復のための炎症反応が起こる。

同時に指圧などの圧迫刺激やお灸の熱刺激も

感覚受容器で電気信号に変換され神経を刺激し

神経性の炎症が起こる。

→血管を広げたり物質を通しやすくする神経伝達物質が放出され

血流がよくなり 組織が修復されるため

ケガや火傷の治りを早めたり傷跡をのこしにくくする

 

☆鍼灸治療が自己免疫性疾患・アレルギー疾患を改善する仕組み

免疫反応は適切な時期に終息する必要があり

過剰に活性化して慢性的に炎症が続くと

様々な疾患の原因となる。

また自己タンパクや食物・花粉など無害な物質に反応し

自己免疫性疾患やアレルギー疾患を引き起こす。

鍼灸刺激は以下のいくつかのルートで

過剰な炎症反応を抑制し免疫機能を調整することで

自己免疫性疾患・アレルギー疾患を改善する

さらに副腎皮質ホルモンの過剰分泌で

血糖値・血圧が上昇することで血管が炎症を起こし

糖尿病や肥満につながる

副腎皮質ホルモン(コルチゾール/アルドステロン)の調整

・過剰な副腎皮質ホルモンはヘルパーT細胞のバランスを狂わせ

アレルギー反応を担う免疫細胞を活性化させる

→アレルギー疾患(気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、

アレルギー性鼻炎、花粉症、食物アレルギーなど)を悪化させる

脾臓における免疫作用(=抗炎症作用)の強化

・脾臓には獲得免疫の主役となるT細胞やB細胞が集まっている。

体内で炎症反応が過剰になると脳幹、神経を経由して

脾臓にそのシグナルが送られる。

→ノルアドレナリンが分泌

→T細胞が反応してアセチルコリンが分泌され

全身にいきわたる

→自然免疫を担うマクロファージの活動を低下させる

→炎症性サイトカインの産生が減少して炎症反応が抑制される

・炎症を抑える薬剤は副作用のリスクがあるが

脾臓を介した抗炎症作用にはその心配がないため

関節リウマチなど自己免疫性疾患の治療の有効性が期待されている

 

☆まとめ

免疫は高ければ高いほどよいというものでもなく

あくまでもバランスよく働いてくれることが大切です。

鍼灸治療は基本的に副作用なしで

免疫を活性化したり抑制したり

状況に応じた調整をしてくれるところが大きなメリットです。

病気の予防としても 病気の治療の一環としても

共に活用していただければと願っています。