今回は 五十肩と鑑別が必要な疾患として

インピンジメント症候群、石灰沈着性腱板炎をとりあげます。

 

①インピンジメント症候群

 

☆インピンジメント症候群とは

 インピンジメント=衝突という意味で

 肩関節を動かす際に関節付近で他の骨や筋肉と衝突が生じることで

 組織が傷ついて炎症を起こす。

 症状は 肩の上げ下げで引っ掛かりや痛みを感じる

 こわばり、筋力低下、夜間痛など。

 特徴的なのは 多くのケースで

 腕を挙げきった際ではなく

 あげていく途中やあげておろしていく途中

 60度から120度の一定の角度で痛みを感じる点。

 

☆診断

決め手となる画像所見はない。

逆に似た症状の腱板断裂、五十肩、石灰沈着性腱板炎ではないことを

診断することで インピンジメント症候群であることを確定する。

・腱板断裂はMRIで確定診断が可能。

 また腱板断裂は筋力低下をおこすが

 インピンジメント症候群では筋力は保たれる

・五十肩では人に動かしてもらっても可動域制限があるが

インピンジメント症候群だと人に動かしてもらえば

痛みはあっても可動域は出る

・石灰沈着性腱板炎と症状は似ているが

レントゲンで判断できる。

詳細は割愛するがインピジメント現象=石灰沈着性腱板炎という

説もある。

 

 

☆原因

 ・スポーツや仕事による使い過ぎ(過労)

 ・加齢

 (年を重ねると肩の骨に骨のとげ=骨棘が形成され大きくなることに加え

  筋肉、関節の柔軟性も低下することで骨同士が衝突しやすくなる)

 ・姿勢 

 (巻き肩や猫背により肩関節の可動域が狭くなると骨同士が衝突しやすい)

 

☆インピンジメント症候群の治療

 消炎鎮痛剤の内服、外用

 ステロイド注射、局所麻酔注射、ヒアルロン酸注射

 リハビリ、ストレッチ

 

☆当院でできること

 ・鍼灸治療やマイクロカレントで炎症を抑えながら

 血流をよくして組織の回復を後押しし 痛みを緩和する。

 ・肩関節はもちろん、肩甲骨や胸郭の動きがよくなるよう

 全身のバランスをみて調整する。

 ・ 局所の痛みや動きの制限によって

 からだの他の部位に負担がかかり二次的に症状がおこることを予防する。

 ・ 痛みや動きの制限による精神的ストレスによって乱れがちな

  自律神経のバランスをととのえ二次的に症状がおこることを予防する。

 

 

②石灰沈着性腱板炎

 

☆石灰沈着性腱板炎とは

肩の関節にある腱板という部分に

カルシウムの結晶である石灰がたまってしまう病気。

はっきりした原因は不明だが

遺伝的要因 甲状腺疾患などホルモンの代謝異常の関与が

可能性としてあげられている。

30代から50代の女性に多い。

レントゲンで診断可能。

ただし腱板断裂との鑑別のためMRIがベター。

 

☆症状

急性型…急激に強い痛みが出現し 関節を動かすことが難しくなる。

    腫れて熱を持つことが多く 触れたり押すと痛む。

    夜間痛が出ることもある。

    一週間から四週間続く。

亜急性型…中程度の症状が一か月から半年続く。

慢性型…動かすときの痛みが半年以上続く。

※上記はあくまで目安で 症状と期間には個人差が大きい

 

☆治療

消炎鎮痛剤の内服、外用。

局所麻酔薬やステロイドの注射。

体外衝撃波治療。

石灰の穿刺吸引。

上記で改善しない場合手術。

 

☆当院でできること

 ・鍼灸治療やマイクロカレントで炎症を抑えながら

 

 血流をよくして組織の回復を後押しし 痛みを緩和する。

 ・肩関節はもちろん、肩甲骨や胸郭の動きがよくなるよう

 全身のバランスをみて調整する。

 ・ 局所の痛みや動きの制限によって

 からだの他の部位に負担がかかり二次的に症状がおこることを予防する。

 ・ 痛みや動きの制限による精神的ストレスによって乱れがちな

  自律神経のバランスをととのえ二次的に症状がおこることを予防する。

 

以上3回に分けて 肩の痛みについて書きました。

繰り返しになりますが

肩の痛みがあるとき 大事なことはまず正確な診断をうけること。

そして早期に治療を開始すること。

整形外科の治療やリハビリはもちろん有意義ですが

鍼灸治療やマイクロカレント療法を併用することで

回復を後押しし その後のQOLに大きく影響します。

ご縁がある方に伝わることを祈っています。

お読みくださりありがとうございます。