前回 五十肩について書きましたが
五十肩と鑑別が必要な疾患として 腱板断裂があります。
(腱板損傷と呼ぶこともあります。ここでは腱板断裂で統一します)
腱板断裂はレントゲンではわかりません。
五十肩とはケアの方針も変わります。
肩の痛み、動かしづらさを自覚したら まず第一に
整形外科でMRI、超音波検査など正確な診断を受けることが必要です。
早期に発見し 適切なケアとリハビリを開始できるかが
その後のQOL(日常生活の質)に大きく影響します。
☆腱板断裂とは
肩を前後上下から支える深層の四つの筋肉
(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)のどれか
または複数が切れた状態。
その中でも 腱板がすり減って薄くなった状態は不全断裂
穴が開いてしまった状態を完全断裂という。
☆腱板断裂の症状
・腕をあげる途中に痛みが出ることが多い
(五十肩だと 腕を上げる途中ではなく
もうこれ以上はあがらないという動きの最後の時点で痛みが起こることが多い)
・腕をひねるとき、
遠くに伸ばそうとしたときに痛むことが多い
・夜間痛が出るケースもある
・筋力低下が起こることがある
☆腱板断裂の原因
・スポーツや転倒で肩を強打したり脱臼したことで
腱板が切れる
・加齢により腱板がいたんで徐々に切れる
☆腱板断裂の治療
・自然治癒は難しい
放置すると穴(断裂)が拡大し
症状が重くなるリスクがある。
・穴をふさぐには現状では手術しかない
ただしリハビリや様々なケアで穴が広がることを防いだり
その進行をおくらせることはできる。
なお 穴(断裂)があるからといって
必ずしも痛みが出るとは限らず無症状の場合もある。
また適切なケアとリハビリにより
痛みを緩和し日常生活への影響を最小限におさえることが可能。
☆当院でできること
・切れた腱を修復することは難しい
(前述のように現状では手術しかない)が
痛みをやわらげ 動きを改善したり
これ以上 穴が広がりにくくすることは可能です
・鍼灸治療とマイクロカレント(微弱電流)で
局所のまわりの筋肉を柔軟にしたり
血流を改善し 関節の動きをよくします
・局所の痛みや可動域制限により
からだ全体のバランスが崩れ
負担がかかる他の部位(腰、膝、頸など)に
症状が出ることを予防します
繰り返しになりますが
痛みや動きづらさを放置せず
的確な診断をうけ
適切なケア、リハビリを早期に開始することが大事です。
次回は 肩の痛みシリーズ最後として
インピンジメント症候群と石灰沈着性腱板炎について書きます。
ここまでお読みくださりありがとうございます。