肩の痛みを訴えて来院される方が多いので
肩の痛みについて 3回に分けてブログを書くことにしました。
まず前提としてお伝えしたいのは
肩の痛みがあるとき 大事なのは
①レントゲンだけでなくMRI(場合によっては超音波検査)もとり
正確な診断をうけること
②早期に治療を開始すること
まず①に関して。
例えば腱板断裂はMRIもしくは超音波検査でしか分かりません。
(レントゲンでもある程度の予想がつくという説もありますが
腱はレントゲンではうつらないので正確な診断は不可能です)
原因がわかってこそ的確な治療とリハビリができますし
逆に間違ったリハビリで悪化するリスクを回避できます。
②に関して。
適切なケアとリハビリは確実に治癒を促進します。
逆に症状が長引くと 局所をかばって他のからだの部位に
二次的に症状がおこったり(腰、足、反対側の肩、腕など)
精神的ストレスによる自律神経の乱れが
内臓の不調や睡眠障害につながることもあります。
整形外科の治療とリハビリは当然 非常に有意義ですが
鍼灸治療やマイクロカレント療法など併用することで
回復を促進することは可能です。
前置きが長くなりました。
以下、今回は五十肩について解説します。
五十肩と一口にいっても 専門的には二つの段階があります。
肩関節のまわりに炎症が起こっているのが肩関節周囲炎
炎症により肩関節を包む膜(関節包)が厚くなり周囲と癒着して硬くなるのが
癒着性肩関節包囲炎(凍結肩)。
また 炎症期・拘縮期・回復期という三段階に分けて捉えることもできます。
〇如水鍼灸院でできること
① 痛みをやわらげ動かしやすくする
特に拘縮期と回復期においてリハビリと併用すると
リハビリの効果が出やすく期間も短縮できる
こういしょう
② 自律神経のバランスをととのえる
五十肩は痛みと動かしづらさで精神的ストレスが大きい
そのため自律神経のバランスが崩れ
血行不良や睡眠障害などをひきおこし
回復を妨げるどころか 他の不調までも招くことがある
適切な刺激量で ツボや経絡にアプローチして
自律神経のバランスをととのえることで
スムーズな回復を後押しすることができる
③ 全身のコンディションをととのえる
肩の痛みや動かしづらさによって
代償的に負担がかかる身体の他の部位をケアし
二次的に不調がひきおこされないよう予防する
また 内臓が不調だと筋肉のかたさや血行不良をひきおこすため
ツボや経絡からアプローチして
全身のコンディションをととのえることも重要。
逆説的に言えば そもそもの五十肩の原因の一つに
肩の骨にできた骨棘という骨のとげに腱があたることによる炎症が
あげられており 高血糖だとその状態がひきおこされやすい。
高血糖は生活習慣、食事内容、体質も大きく関与するが
鍼灸治療をはじめとするホリスティックケアは改善の一助となる。
上記の観点から五十肩を根本的に治して再発を防ぐ効果が期待できる。
(同側で再発することは少ないのですが反対側で同じような症状がおこることは
珍しくない)
※糖尿病は五十肩のリスクを3.69倍高めるという研究論文が
2023年のBMJopenに掲載された。
血糖値のコントロールには食餌療法と運動療法が不可欠だが
適切な刺激量と刺激内容であれば鍼灸治療も一助となる。
※突発的な肩の痛みや胸の圧迫感、背中の痛み、発熱がある場合は
心疾患、膠原病など重篤な疾患が隠れている可能性があるため
速やかに病院を受診する必要がある。
以下、時期ごとに詳細を解説します。
炎症期(急性期)
発症してから数週間から数か月。
当初は動かすとなんとなく痛むだけだったのが
その痛み自体が強くなったり
何もしていなくてもズキズキ痛む
夜間時に痛みで睡眠に支障が出るなど
急激に悪化していくことが多い。
この時期は 不適切な運動や動作により炎症が悪化する一方で
安静に動かさないでいると肩関節周囲の筋力低下や関節包の硬化がすすみ
より可動域がせばまるという二重のリスクがある。
また痛みや可動域制限による精神的ストレスで
自律神経が乱れ 血行不良など他の症状をひきおこすこともある。
鍼灸治療、ネオヒーラ―、アロマセラピー、オイルマッサージなどで
脳や神経の中枢に働きかけまずは痛みをおさえることが大切。
さらに 筋肉、筋膜の連動やトリガーポイント、
東洋医学的なツボと経絡の走行などを考慮して
肩まわりだけでなく全身に効果的にアプローチすることで
回復を促進することができる。
この炎症期の期間が短く 症状が軽く経過した場合
次に続く拘縮期(凍結期)に移行せずに改善したり軽く済むことが多いため
可能な限り早期にケアを開始することが望ましい。
拘縮期(凍結期)
期間は数週間から数か月と個人差が大きく
炎症期の長さと比例することが多い。
この時期は痛みは軽減するが肩まわりの組織がかたくなり
肩や腕が動かしにくくなるため日常生活に支障をきたす。
この時期から積極的な運動療法(リハビリ)が推奨される。
鍼灸治療、ネオヒーラ―、アロマセラピー、オイルマッサージ、吸角療法は
血行をよくしたり 硬くなった筋肉をほぐすことで
運動療法をスムーズに かつ効果的に行う手助けになる。
回復期
徐々に痛みがなくなり 可動域も改善していく。
期間は数か月から数年と人によって幅がある。
適切なストレッチや体操、ケアを行うことで
回復をはやめると同時に後遺症を防ぐことができる。
反対に動かさないでケアを怠ると
痛みがなくなっても可動域制限が残るリスクがある。
(手術を行わずに薬物やリハビリなどの治療をして7年後
35%に痛み 30%に可動域制限が残ったという研究がある)
拘縮期と同様に
鍼灸治療、ネオヒーラ―、アロマセラピー、オイルマッサージ、吸角療法は
血行をよくしたり 硬くなった筋肉をほぐすことで
運動療法をスムーズに かつ効果的に行う手助けになる。
※五十肩と鑑別が必要な疾患として
腱板断裂、インピンジメント症候群、石灰沈着性腱板炎などがあります
次のブログでそれぞれ書いていきます
ここまでお読みくださりありがとうございます。